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総務省地方公会計マニュアルQ&Aの解説~その1~

■地方公会計において”財政調整基金”はどのように表されるか。

昨今、地方公共団体の“財政調整基金”が論点になっています。

平成29年5月11日(木)に安倍総理を議長として行われた「平成29年第7回経済財政諮問会議」では、財政調整基金など自治体の基金残高が21兆円あまり積み上がっていることを指摘され、今後議論になっていくことが想定されています。

これまでの地方財政制度においては、多くの場合、基金について、財政調整基金、減債基金またはその他特定目的基金に分類し、分析されてきました。

一方で、統一的な基準による地方公会計マニュアル(平成28年5月改訂)においては、基金を貸借対照表に表示する際に、民間企業の場合と異なり、現金預金等に含めずに独自の勘定科目を設けて記載します。

具体的には、以下の4つに区分して表示することになっています。

①財政調整基金(流動資産) ②減債基金(流動資産) ③減債基金(固定資産) ④その他基金(固定資産)

流動資産と固定資産という新たな分類方法を試していくことになり、今後の基金に関する議論にも活かしていける可能性が広がります。

これに関連して、平成29年8月18日に総務省より示された「統一的な基準による地方公会計マニュアルに掲載のQ&Aの追加」において以下のQ&Aが示されています。

【問番号1】

Q. 基金について、1年基準によるならば、予算上取崩すこととされた基金を流動資産、それ以外の基金を固定資産と考える必要はないのでしょうか。また、この場合、固定資産としての「財政調整基金」、流動資産としての「その他の基金」もありえるのではないでしょうか。

A. 流動・固定を分類する際の判断基準は原則として1年基準とされていますが、基金についてはその性質で勘定科目を定めており、財政運営上弾力的に取り崩される「財政調整基金」は流動資産として、特定の目的のために取り崩される「その他の基金」は固定資産として分類しています。

関連箇所 総財務第110号「財務書類作成要領」83段落

今後、統一的な基準により地方公会計を整備していくにあたっては、このような考え方を踏まえて、基金を流動資産と固定資産に分類し、インフラ・公共施設などの有形固定資産との対比等の分析を行うことで、基金の議論が更に深まっていくことが期待されます。

次回も引き続き、地方財政・地方公会計制度についてお伝えいたします。

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